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東海村臨界事故後の原子力発電に対する意識
−日本人の原子力発電に対する意識は変わったか−

1. 東海村臨界事故の原子力発電に対する態度への影響 株式会社原子力安全システム研究所
社会システム研究所研究員 北田淳子



1.調査目的

平成11年9月30日に鰍iCO東海事業所において臨界事故が発生した。事故2か月後に意識調査を実施し、事故が人々の原子力発電に対する態度にどのような影響を与えたかをデータに基づいて明らかにする。


2.調査概要

@ 調査時期:平成11年12月1日〜平成12年1月28日

A 調査方法:質問紙配布留置自記式

B 調査地域、サンプル数、回収率等

種  類

標本抽出方法

地域

サンプル数

回収率

新規サンプル調査

層別2段系統抽出

関西

750

70.9

関東

750

70.1

追跡調査

1998年調査回答者

関西

1054

61.1

C       影響を評価するため比較対象とする主なデータ

種  類

調査時期

地域

サンプル数

回収率

第1回定期調査

19931〜2月

関西

1500

75.9

もんじゅ事故後調査

19962

関西

750

74.9

アスファルト固化施設事故後調査

19975

関西

750

71.0

第2回定期調査

199878

全国

3000

70.1

関西

1500

70.3

標本抽出方法はいずれも層別2段系統抽出

3.結果

@ 一般的な項目にみられた変化
98年から99年の変化をみると、原子力以外では、ふだんの情報源としてインターネットをあげる人の増加、近代医学以外の治療を否定する傾向の高まり、新幹線事故に対する不安の増加、JRの評価の低下に有意差があらわれており、調査データはこの間の社会の出来事を反映している。

A 原子力に対する不安
原子力施設の事故に対する不安の推移をみると、「非常に不安」という強い不安を感じる比率は、もんじゅ事故後有意に高まったが、98年には低下する傾向がみられていた。JCO事故後は、「非常に不安」が98年より有意に増加しており、不安感は高まっている。

原子力施設の事故の不安

B 原子力に関してみられた変化
原子力施設の事故に対する不安以外で98年と99年で有意差のあったものをあげると、チェルノブイリ原子力発電所のような大事故が起こりそうと考える人が増加、原子力発電所労働者のイメージとして「危険と引き替えに報酬を得ている」が増加、「高い技能をもっている」が減少した。また、電力会社がどんなことをすれば共感できるかという質問では「社員教育」が増加しており、JCO事故を原子力発電所に重ね合わせたような反応がみられた。しかし、新幹線の事故への不安が増加しJRに対する会社評価が低下したの
とは対照的に、電力会社の評価は低下していない。国や企業の安全確保に信頼がおけないという意見が増加、原子力発電の安全確保に関する具体的な説明に対する評価でも安心できないとする人が増加している。

C 原子力発電の利用についての態度

原子力発電の利用についての態度の推移をみると、もんじゅ事故後、アスファルト固化施設事故後は有意差はないものの、肯定側の比率がやや低くなっていたが、98年には「利用もやむを得ない」が有意に増加、「利用すべきでない」が有意に減少し、もんじゅ事故以前の93年との比較においても「利用もやむを得ない」が有意に高く肯定的になっていた。JCO事故後は、「利用するのがよい」という積極的賛成の比率はやや低下しているが、いずれの選択肢にも有意差はない。不安や不信感は増加しているが、利用につい
ての態度は事故の影響をあまり受けていない。

原子力発電の利用についての態度(関西)

D 事故への不安と原子力発電の利用についての態度

事故への不安と原子力発電の利用についての態度との関連をみると、不安の程度が同じであっても、98年とJCO事故後では、利用についての回答分布は異なっている。不安の程度と利用についての態度は一義的に対応しているものではなく、今のところ不安の増加が利用否定へと必ずしも直結していないと考えられる。

E 原子力発電に対する態度の総合指標

原子力施設の事故に対する不安を含めた原子力に関する複数の質問(原子力発電重要度、原子力発電有用度、原子力施設事故の不安、主力とするのがよいと思う発電方法、原子力が安全だという話や記事への共感度、原子力を人や環境に悪い影響を与えず上手に利用できると思うか、原子力発電の賛成理由・反対理由への同意数、原子力発電の利用についての態度)を総合した原子力発電に対する態度の指標をもとめ、93年、98年、99年を比較した。93年から98年では、やや好意的が有意に増加していた。JCO事故後は、98年よりとても非好意的が有意に増加している。しかし、93年との比較では有意差はない。93年から98年へとやや好意的な変化がみられていた態度がJCO事故によりやや否定的になったといえるが、数年のスパンでみると原子力発電に対する基本的態度が大きく変化した様子はみられない。

原子力発電に対する態度の総合指標の比較

4.地域差と男女差

@ 関西地区とJCO事故のあった東海村に距離的に近い関東地区を比較すると、JCO事故後の関西と関東の回答分布に差はなく、また、関西、関東それぞれの98年と99年で有意差のある原子力関係の項目数からみても、関東地区が事故の影響を強く受けているということはない。

A 女性は男性より98年と99年で有意差のある原子力関係の項目が多く、女性の方が事故による影響をより強く受けている。


以  上

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